帰宅後、私たちはクリスマスイブがクリスマスになるまで、ふたり仲睦まじく過ごした。

夜更かしをした私たちのもとへサンタさんは来てくれなかったけれど、とても幸せな時間だった。



翌日、少し遅めに起きた私たちは、大和さんの車でジュエリーショップに向かう。

サイズ直しのついでに、お客様情報として、全ての指のサイズを測ってもらった。

大和さんとショーケースを眺めながら、美しい輝きと桁の多い値札に夢と現実の違いを突きつけられた気がした。

「由里子は、どんな指輪が好みなの?」

大和さんが聞いてくれるけど、値札が気になって選べない。

今、買ってくれるわけじゃないって分かってるのに。

「買うわけじゃないから、値段関係なく
好きなの選んでみてよ。」

「んー、じゃあ…
これとか… ああ、これもかわいい。」

といくつか選んでいく。

すると、お店の人が黒いベルベットを貼ったトレイにその指輪を並べてくれる。

「どうぞ、せっかくなのでつけてみて
ください。」

「いえ、大丈夫です。」

店員さんはにこやかに勧めてくれるけど、そんな高いもの、恐れ多くてとてもつけられるものじゃない。

なのに、大和さんまで、

「つけるだけなら只なんだし、
つけてみたら?
俺も見てみたいし。」

なんて言う。

いやいや、そんな高いもの、無理だし。

「いえ、私は… 」

「じゃあ、つけてあげようか?」

……っ!
そんなのもっと無理!

って思ってたのに、大和さんに強引に左手を取られてするりと指輪を入れられた。

入ってしまえば、やっぱり、うっとりするほど綺麗で、つい、自分でも見入ってしまう。

「うん、よく似合ってる。
じゃあ、これは?」

大和さんは私の指からするりと指輪を抜き取り、別の指輪をはめる。

そうして、5本の指輪を試着した後、大和さんに聞かれた。

「由里子はどれが一番好きだった?」

私はトレイに並んだ5本を眺める。

「うーん、どれも素敵だけど…
強いて言うなら、これかな。」

その中の1本を指差した。



サイズ直しには、2週間ほど掛かるとの事なので、年明けにまた取りに行くことになった。