その後、私の事件を受けて、大和さんのマンションの防犯対策が強化された。

来客も帰宅者もエントランスの自動ドアを解錠する際には、そこを通る人数を入力しなければいけなくなった。

そして、その人数以上の人間がそこを通ると、センサーが感知して「申告より多くの人が入りました」と警告を促す。

不法侵入者にとっては、前を歩く人が振り返る事で侵入し辛くなる。

こんなことができるのも、このマンションが大和さんのお父さんの持ち物だから。

だけど、改修費用は決して安くはなかったと思う。

私のために、申し訳ない。


だけど、大和さんはそれを否定する。

「あんな事件があった建物なんて、みんな
住みたいと思わないだろ。
そのくらいの防犯対策は、必要な営業努力
だよ。」