今日は、『朧月』とは関係なく、定番の観光地を巡って帰宅した。

すごく幸せな2日間だったと思う。


大和さんが今日は軽めの夕飯がいいと言うので、2人でさらさらとお茶漬けをいただいて終わりにした。

「由里子さん。」

食後、大和さんが口を開いた。

「もし、由里子さんが嫌じゃなければ… 」

「はい… ?」

「今日から一緒に寝ないか?」

少し緊張した面持ちの彼は、この2日間でたまに見せるかわいい彼だ。

私はそんな彼を見られた事が嬉しくて、にっこりと笑って、
「はい。」
と答えた。


私は、お風呂を上がると、リビングで読書をしながら待っていてくれた大和さんと、彼の寝室に入った。

旅館のような特別な場所ではなく、日常の場所で彼と寝るというのは、また違った緊張感がある。

ドキドキしながら、彼に促されるまま横になり、もう何度目かになるくちづけを受けた。

初めは優しく、小鳥が餌を啄むかのようなかわいらしいくちづけだったのが、徐々に深まるにつれて、彼の手がパジャマの上から私の体を撫でていく。

くちづけていても漏れる甘い声が恥ずかしくて、抑えたいのに抑えられなくて、どうしていいか分からない。

唇を解放されて私がまずしたことは、手で口を押さえること。

なのに、大和さんはその手を剥がして、

「声、我慢しないで。」

なんて言うの。

だって、ただでさえ恥ずかしいのに、自分がそんな声を上げてるなんて、余計に恥ずかしくなる。

「やだ… 恥ずかしい… 」

私が言うと、大和さんは優しく微笑んで、

「由里子さんは、声もかわいいよ。
由里子さんのかわいい声をもっと
聞きたいんだ。
お願い。もっと聞かせて。」

なんて囁くから…

私は、大好きな大和さんのために、口を押さえるのはやめた。

甘やかな夜は更けていき、目覚めれば、いつもと変わらない日常が始まる。

だけど…

大和さんに愛された私は、少し自分に自信が持てる気がする。