だから、優美に言われた事が、余計にグサグサと胸に刺さる。

他に彼女がいるから、私には何もしなかったの?

彼を信じると決めたのに…

はぁ…

返却した本と共に書棚に手を掛けたまま、思わずため息がこぼれた。

その後、優美とは必要最低限の話しかせず、仕事を終えた。

今日も駐車場には宮原さんが来てくれている。

私は、助手席に乗り込み、図書館を後にする。

時折、宮原さんの顔を見つからないようにそっと眺めては、目を逸らす。

やっぱり、かっこいい。

優しくて、紳士で、落ち着いていて、地位も名誉もある彼が、なんで私なんかを好きになってくれたんだろう。

化粧なんて必要最低限しかしてなくて、服装も地味で、どう考えても男の人に好きになってもらえる要素なんて、どこにもない。

現に、今までも男の人に告白された事なんてない。

私も優美みたいなら、自信も持てたかもしれないのに。