思いを通わせた私たちだけど、そのあとはいつもと変わりなく、お風呂に入り、それぞれの部屋で就寝し、いつも通りの朝を迎えた。

いつも通りの朝だけど、どこか爽やかな感じがするのは気のせいだろうか。

私は朝食を作り、ついでに2人分のお弁当を作った。

宮原さんは、持って行ってくれるかな?

迷惑だったら、どうしよう。

好きだからこそ、ひとつひとつのことが不安になる。


「おはよう、由里子さん。」

宮原さんは、いつものようにキッチンにやってくる。

「おはようございます。」

私が挨拶を返すと、いつものように後ろから抱きしめる。

その温もりが嬉しい。

私が彼の胸に頭を預けると、彼はそのまま私の右頬にちゅっと唇を押し付けた。

えっ!?
これって…

ええ!?

私はキスをされたことにようやく気づき、うろたえる。

キスをされた頬を手で押さえたいのに、今日も手は泡だらけでそれもできない。

え? え?
こういう時、どうすればいいの?

困る私を見て、宮原さんは、くくっと笑った。

「由里子さん、かわいい。」

宮原さんはそう言うと、今度は左の頬にキスをする。

私はますます困って、うろたえる。

それを見て、宮原さんは満足そうに顔を洗いに行く。

んん〜!!
こういう時、どうすればいいの!?

恋愛小説って、今まで恥ずかしくてあまり読んだことなかったけど、読んだらどうすればいいのか分かるのかな。

そんなことを思いながら、泡を洗い流した手で、頬に触れると、驚くほど熱かった。

水で手が冷たくなってるせいなのか、本当に頬が熱を持ってるのかは分からないけど、きっと顔が赤いのは間違いないだろう。