転校生が来た時は衝撃的だった。
髪の毛は白だし、目は大きいし、身長高いし綺麗だし。
クラスの男子は釘付けだろうな。
自己紹介が終わって席が指定された。
「心花の隣な」
「わかりました」
「えっ!うちの隣!」
「ずるー」
「俺の隣が良かった」
「いや俺だろ」
騒ぐ男子を無視して鬼輝は、心花の隣に腰を下ろした。
鬼輝は、恥ずかしそうに手をもじもじさせながら心花に話しかけた。
「よろしくお願いします。」
「よろしく。ってかなんで敬語?タメ口でいいよ」
「分かった、ここの人達は騒がしいね」
「まーね、あんたがいるからでしょ」
「えっ!?」
「あー、悪い意味で言ってる訳じゃなくて可愛い子が来たら誰でも騒ぐでしょ」
「可愛い?わたしが?」
「うん」
「そんなことないよ!心花さんの方が美人さんだよ」
「おっ!分かってんじゃん。ってか、心花でいいし」
「うん」
それからは、仲良くなりたくさんの友達が出来た。
毎日を楽しく過ごして、時には大きな行事で一緒に汗を流した。
鬼輝にとって初めての体育大会。
この中学校では紅白と紫に別れて競い合う。
「キキって足速いの?」
「足?どーだろ、あまり走らないから」
「何それ、お嬢様かよ」
「まーね、」
「心音も入れて!」
「いいよ!日陰に行こう、ここ暑い」
「そうだね」
体育大会は見事に成功し、その日の夜は疲れて早く寝ることにした。
それから月日がたち中学3年生の頃、始めて事件が起こった。
ソレは、人間界で妖怪が喧嘩をしているという内容だった。
喧嘩の場所は昔、墓地として使われていた土地だった。
そこはよく自殺をする人がいるそうだ。
「王さま。どうかお気をつけて」
「分かっとる」
「我々は姿を隠すことはできませぬゆえ、近くで見守っております」
「王さま、お着替えの準備が出来ました」
その日の服装は、黒の生地の着物に桃色の桜吹雪が描かれており、帯は黄金で腰元に大きなリボンを作った。
足元は下駄ではなく、走りやすいヒールにした。
お面をつけて向かった。
「お前達が、俺たちの土地を荒らしている奴らか」
「荒らす?そんなことはしておらん。違法なことをしているやつを罰しているだけだ」
「そうだ、お主らが至らんことをするからじゃろう」
違法なことをしているやつは、烏の姿をした妖怪。
気性が荒く、妖怪界でも恐れられている厄介者だった。
それに比べて、一方は見たことの無い者ばかりだった。
狐に蛇、狼など様々なあやかし達が集まっている。
そう思いながら見ている間に戦いが始まっていた。
両者、喧嘩に慣れているのか激しい。
止めることは出来るが自我が失われている今、無駄に出てもけが人が出るだけ。
「これは、大変じゃ」
近くにいた妖怪たちを避難させ参戦することにしよう。
「さっさと死ねや」
「死ぬ?それはお前達だろ」
「あ?みんな、やれ」
「「おー」」
背中から生える漆黒の翼で中を飛び回り、羽を使ってやのように鋭く、刺す。
飛べない妖からしたら、厄介で仕方ない。
「大丈夫?」
「いいからそっち!くるよ」
「お前ら、ふざけるな」
狐の手から出たのは青い炎。
あれは、妖の中でも上位の貴族のはず。
そして、女子の声もどこかで聞いたことがある。
「もしかして……心音!心花!」
つい鬼輝が叫んだ時、2人の動きが止まった。
2人は声のした方をみて、固まってしまった。
そして、狐の方は鬼輝と幼なじみの希音だった。
「!キキ」
「なんでここに居るの?結界を貼ったはず」
「いや、意味ないだろ……」
「なんで?」
「3人とも、それはいいから早く片ずけるよ」
鬼輝が加わり喧嘩はあっという間に終わった。
烏達は、尾をまいて妖怪界に逃げていった。
「あんな奴ら、力を使わなくても勝てたよ」
「……それで、なんでここにキキが居るの?それもその格好」
「コスプレ?」
「お前ら、言葉に気をつけろ」
「なんで?友達なのに?」
「希音、いいの。言わなかった私が悪いし」
鬼輝は、外していたお面を顔につけ鬼である証の角を出した。
「お、鬼?ってことは」
「「王さま!」」
「隠すつもりはなかったの。私もあなた達が妖だって知らなかったし。それに王ってバレたらみんなの態度が変わっちゃうでしょ?」
「そ、そりゃーね」
「私達は位がそんなに高いわけじゃないからね……」
「うん」
戸惑った2人は目を伏せ、口を開かなくなった。
その中、初めに口を開いたのは希音だった。
「どーであれ、ここで話すのも嫌だし俺のウチくる?」
「えっ!いいの?」
「行く!」
希音が手配した車に乗って人間界にある家に向かった。
その家は想像以上に大きく、もんから玄関までの距離が遠かった。
門には見覚えのある姿がある。
「もしかして、南?」
「あぁ、よく覚えていますね」
「そりゃーそーよ。あんな働き者の執事はいないわ」
「そうですか?俺には慌ただしとしか思いません」
「見る目ないわね。早く入ろ」
家の中は白で統一されており、洋室と和室が作られている。
使用人は5人おり、綺麗に整理されていた。
ソファーに腰掛け本題に入る。
「王、さま」
「キキでいいよ。ここは人間界なんだし」
「キキ。なんで人間界にいるの?」
「妖怪のせいで人間界が荒れているって聞いたから、自分の経験を積むのと兼ねてこっちに来たの。2人は?」
「私達は元々人間界で生まれたの。」
「私たちの親は人間界で治安を守る仕事をしてるから一緒にしてる」
「そうなんだ。私もまだわからない事ばかりだな。希音は」
「私は」
「ちょっと待って、なんでそんな喋り方なの?普通にして」
「俺は暇潰しだよ。だって親父うるさいんだもん」
「確かに……それは分かる」
「待って2人って、幼なじみ?」
「そうだよ」
「じゃぁ、希音って貴族?」
「まーな」
それからも態度は今までと変わらず生活することにした。
希音は、同じ中学校に転校し夜のパトロールも増えていった。
いつもどうりに、鬼輝は学校を終え帰宅していると背後から気配を感じた。
すぐ振り返らず、歩く速さを早めると同じように後ろからも早まる音がした。
「だれ?」
「。」
鬼輝は、直ぐに戦えるようにてから炎をだし振り返るとそこに居たのは婚約者の透だった。
「透?なんでここに居るの?」
「久しぶり。驚かせたくて……ごめん」
「全然!会いに来てくれてありがと」
「どういたしまして。喜んでくれるのは嬉しいけど……離れて、人目が気になる」
「ご、ごめんなさい」
2人は手を繋いでお寺の方へ歩いていった。
透は、昔からの許嫁であり2人ともお互いを好いていた。
透が生まれた一家は代々、狼しか居らず、王族の護衛として地位を占めていた。
2人はいずれ式を挙げるが王の座は透に渡されることは無い。
昔の人間界の考え方とは程遠いのだ、妖怪界は。
「透様、お久しぶりです。」
「お母様、お元気でしたか?」
「はい。見てこ通りでございます」
「肩苦しい挨拶は終わり!ご飯食べよ」
「そうですね、今準備させます」
桃音が席を外したあと、2人は向かい合ってそれぞれのことについて話し始めた。
「妖怪界はどう?」
「あまり変わりはないよ。でも、キキが居ないことを知っているヤツらがいた」
「なんで?誰にもバレないようにしてるはずなのに」
「だから、そいつらを今探してる」
「頑張って!」
「うん。人間界は?」
「妖が私の近くにいたの。それも人間界を守ってくれてる妖ばっかりなの!だから毎日が楽しい」
「……ずるい」
透は、すねたように頬を膨らませ腕を組む。
昔からのくせで、怒りを表すとき、いつも子供のように見える。
「かわいい」
「……」
「そんなに怒らないでよ……」
「ふん!」
「ふふふ、あっ、ご飯来たみたい」



