妖の中でももっともっと偉い者、王の娘として生まれた女子がいた。
王になるには壮大な力と信頼が必要になる。
その女子は信頼は得ることが出来たものの、力にめぐまれることは無かった。
その上、女ということで多くの批判の声が上がっていた。
その女子は桃音と名ずけられた。
毎日毎日部屋にとじこもり、誰とも合わない生活。
巡り合いもあるはずがなく、ひとり悲しく生きていた。
「桃音ちゃん。お願いだからママのところに来て」
「嫌だ。」
「どうして?」
「私は王になんかなりたくない。それに、なれない」
「っ……」
そんな生活を送っている時、ある男が現れた。
その人は、強い力を持っているわけでもなく、家柄もそう高くはない。
だけど自分を1番に思ってくれる優しい人だった。
「桃音様。私、朴と申します。天狗家の使いとしてまいりました」
「天狗家?もしかして、おめんを頼んでくださった?」
「はい。あなたがたの作るお品はとてもいいと評判です」
「そうですか」
2人は、格差恋愛をし駆け落ちして行った。
幸せな時間をすごしていた中、王からの命令が下された。
『今すぐ帰ってきなさい』
桃音は、その命令に背き一人の少女を産んだ。
桃音は、猫。朴は、天狗。
その二人の間に生まれたのは、ダントツに確率の低い『鬼』だった。
それを知った王はすぐさま2人を城に戻した。
「いい度胸だな。俺の前から消えるなど」
「申し訳ありませんでした」
「ごめんなさい」
「あなた、そんなことを言いたいんじゃないでしょ?」
「……俺達はこの先もう長くない。だからその子を次の王にする」
「えっ!この子をですか!」
「えぇ、鬼とはね王家にしか生まれない希少な子供なの」
「でも、この子に力があるとは限らない」
桃音の予想は外れ、その子は今までにないくらい強い力を持っていた。
一歳迎える頃には現王の力を上回るほど強かった。
みんな喜んでいる時。
2人の命は尽きた。
悲しみに潰されそうになりながら桃音は、必死にその子を育てた。
「あなたの名前は、鬼輝。妖たちをまもるのよ」
「はい!」
鬼輝は、物わかりがよく妖怪達に好かれていた。
その上力があるため誰も文句を言ってこなかった。
「鬼輝様!この着物どうだい」
「こっちのアクセサリーは?」
「美味しいぞ!食べて行ってくれ」
「わかったわかった!ちょっと待ってね」
赤としろ、桃色の生地の着物に首元にはファーが大量についていて、ラメで蝶々が描かれている着物を着て耳には大きなイヤリングをつけ厚みのある下駄を履いている。
髪の毛の色は美しく輝くホワイト。
目の色はブルーと、イエローのオッドアイ。
小さな顔に大きな目。