妖怪界では、戦の準備をしているが人間界では、秋のファッションショーが開かれようとしていた。






秋のファッションショーとは、各学年の女子と男子が1人ずつ代表としてランウェイを歩くのだ。







優勝したクラスにはお菓子やジュースが大量に送られる。







そのためクラス全員が気合が入っているのだ。













「今年の代表者。したい人ー」








「「……」」









「うそ!居ないの?」







「かよちゃんモデル志望じゃないっけ?」







「無理無理無理!責任感が重すぎる」








「えー、でもさ。私的にはキキちゃんにして欲しいんだよね」








クラス全員の目線が鬼輝を貫く。






そう思われても仕方ないだろう。






白い髪の毛に、オッドアイ。







赤ちゃん肌のほっぺに、薄くピンクがかっている鬼輝の顔をだれも不細工だなんて言わない。







スタイルも身長は高く足は細い。






ウェストは60いかないし、バストもそれなり。









「私!経験ないから迷惑かけると思うよ」







「いやいやいや、キキちゃんで迷惑かけるなら私は事故だよ」







「「ハッハッハッハーー」」








断れない性格のせいか、流れで鬼輝と希音がすることになった。







開催されるのは二週間後。







それまでに衣装やメイクなどを作らなければならない。






担当は、心音、心花、その他の女子に決まった。








「衣装どうすんの?」






「やっぱ、ドレス?」







「でも、ドレスってみんなそうじゃない?」








「確かに……」









「どうしよう?」









「キキのお母さんとお父さんにお願いすれば?着物作ってるんでしょ?」








「うそ!ほんと?」








「ま、まーね。でも、最近姿見かけないけどね」








「じゃぁ、電話してみてよ!」









押され気味に電話をかけると5コール目に萌音が出てくれた。








『もしもし?どうしたの?』







「あのさ、再来週にあるファッションショーで、着物着たいんだけどある?」







『いくらでもありはするけど、それって自分達で作るやつでしょ?』







「まーね」








『道具とかは貸すから自分たちで作りなさい』







「ほんと!いいの?」







『いいわよ。もう準備しとくからいつでもいらっしゃい』








電話をきり、みんなに伝えようとしたがその必要はなかったみたいだ。






電話から漏れていた声でわかったらしい。







その日の放課後から鬼輝の家で着物作りが始まった。







「それにしてもさ。希音くんがモデルするなんて思わなかった」







「そう?」








「うん。だっていつも堅物な顔して怖いもん。まー、イケメンだけどね」







「あー、それは昔から」







「昔から知ってるの?」







「ほら!手を動かせ!」







「はーい」









着々と準備は進み、着物2着完成した。






鬼輝の着る着物は







緑、赤、黄色の花が描かれた着物になっており花の周りは金色のラメでなぞられている。






所々に蝶々が飛んでおり女の子らしさが出ている。





後ろの丈が長く、前の方は大胆に開いており太ももまで見えるようになっている。





帯は黒に薄ら黒のラメでさくらが描かれたものを、お腹の前で大きなリボンにした。





下駄は厚みがあり履くと5センチくらい身長が高くなる。





当日は髪に簪もつけ、今どきのファーが着いている。






メイクは、茶色で縛り大人っぽさと子供っぽさを出すために、赤リップにオレンジのチークを鼻まで入れた。








希音は、





黒と紺色の冬景色をモチーフにした着物になっている。




胸元は大胆に開いており大人っぽさを出した。





当日は赤のアイシャドウを入れて色気を出す。




















ついに迎えた秋のファッションショー。






来客は数百万も居る。





一般の方以外にもファッション雑誌の編集者や事務所の社長などもいる。





そんな中、出る人は以上に着替えスタンバイを始めた。







「よし。メイクからするよ」







「うん」






「元々が可愛いからあまりする所はないけど」






「そんなことないよ」














「よし!メイク完成!次髪の毛ね。あれ?簪は」








「え?あっ、教室だ」







「うそ!取ってきて」






「おけ」






メイクをした顔で校内を猛ダッシュする。





もちろんなんだ!という顔で見られるが関係ない。







教室につき簪をとると、男の人たちの声が聞こえてきた。






見つかったら面倒臭い。






そう思い見つからないように忍び足で逃げるがそう簡単には行かないもんだ。







「うわ!なにあの髪。すげー綺麗」






「ほんとだ、白じゃん。それ地毛?」






「は、はい」







「すげー」







「あ、あの。触らないでください」







「はー!お前拒否られてんの」






「うざ!まー可愛いから許すけど。メアドちょうだい」







「い、いやだ」






「はぁ!うざ」








『ウザイのはそっち。さっさと消えろ』







「はぁ!誰だよてめぇ」







後ろから現れたのはカッターシャツを緩く着ていて結んでいないネクタイとブレザーを肩にかけた透だった。






メイクもしており髪型も濡髪で、カッコイイ。










『さっさと消えろ』






「は?調子こくなよ」







『それはお前らな。』







「は?」






「おい、後ろ見ろよ」







振り向くとそこには黒いスーツを着たごつい外国人達が腕を組んで立っていた。





男達は怯えた尾をまいて静かに去っていった。






外国人の男達はそのヤツらを追いかけて走っていった。









「かわいいね、キキちゃん」






「ありがとうございます。」







「……会場行く?」






「いえ、まだ着替えてないので。私はここで










「待ってよ。そこまで送っていく」







廊下には2人の足音しか聞こえない。





気まずくなり俯くと、それに気づいた透は話し始めた。






「キキちゃんはさ、記憶取り戻したんでしょ?」







「あ、はい。確か透先輩も妖でしたよね」








「まーね、他に俺の事思い出した?」









「いえ。」






「そうか。そうだよな」









そうこうしてるうちに更衣室につき2人は別れた。






最後に見た悲しい顔は忘れられない。





更衣室に入るなり衣装の女子達は慌てた様子で着付けを始めた。






予定では見えなかったはずの谷間も見えてしまう。






「ちょっと開けすぎじゃない?」









「そう?そんなことないよ」








「??」










「キキー。着替えたか?」






「希音くん。入ってきていいよ」






「うわ!」






「うわ!ってなに」






「いや、綺麗」






「でしょ!私たちにかかればこんなもんよ」







「希音もカッコイイよ。それにしても身長が高くなったね」







「そうか?」






観客が待ちどうしくしている時、会場の電気は消えステージの電気だけが明るくなった。







とうとう始まったのだ。







12ペアの中からNo.1を選び抜く。







1クラスの男女ペアがランウェイを歩き様々なことに挑戦する、







もはや、ファッションショーでは無いだろう。








ほかの組の中には透もいた。











『では皆さん。待ちに待った秋のファッションショーを開催致します』







「「いぇーい」」








『では早速始めます。出場者は皆さんにお渡ししたパンフレットに記載されています。
1つ目は、普通にこのランウェイを歩いてもらいます』








試練は3つあり一つが終わるにつれて4ペアが脱落していく。





3年、2年、1年の順に歩く。






ドレスやスーツ、私服にと想像していたものばかり。









着物は誰もいなかった。






2人は重い着物で堂々と歩く。






着物特有の揺れ方を利用し、観客は目を惹き付けられた。








影からは鬼輝の髪の毛について話す人もいる。







「なにあの髪の毛?」






「染めたのかな」








「いや、インターネットにあったけどあの人地毛らしいよ。有名だよ」







「あー、見た事ある!芸能人みたいだって騒がれてる人でしょ?」







「うん。それにしても隣の男の人、カッコイイ」







「そう?私さっきの透って言う人がタイプ」