同じ道を同じように帰る。
同じ光景のはずなのに何故かしら悲しいように思える。
「透さま……何故あのようなことをするのですか?」
「何故?さー、俺にもわからん」
「僕、透様がいなくなったら…。うぇーん」
「こら、似鳥!泣くでない」
「ほんと、似た兄弟だな」
あとすこしで死ぬのに恐怖心は全くない。
逆に清々してきた。
戦いの前に人間達にあってこよう。
そして記憶を消してこよう、そうしないと悲しまれたら大変だから。
城の者達には沢山、ごちそうを食べさせよう。
苦労させてきたからな。
最後に鬼輝に会おう。
今まで言えなかった「すき」の言葉を伝えないと。
「ごめん、俺人間界に戻る」
「そうですか。お元気で、戦の準備は私共がしときますので」
「よろしく」
今までウザかった女子達も、何故かそう感じなくなった。
「透くんさ、なんか最近楽しそうだね!今までは笑ってたけどなんか怖かった」
「たしかに!でもイケメンだから気にしなかったけど」
「そう?まー、最近楽しいけどね」
「なんでぇ?」
「内緒!」
最近、透先輩が気になる。
会議の時しか合わないのに、なんでだろう。
むかむかする胸を押さえその場をあとにした。
「心音!そんなに怒んないでよ」
「だって!急に居なくなるからでしょ!」
「ごめんってば!でもね、鬼虎組にあってきたんだけど全く変わってなかった」
「ふっ、良かったね」
次の授業の移動で体育館にみんなが移動した。
しかし1人教室に残っている男子がいた。
「なんか違和感がある」
残っていたのは希音だった。
少し前から鬼輝と一緒にいると違和感が感じられた。
その正体は普通の人なら感じ取れない微小な妖怪パワーだった。
鬼輝の通学バックに手を入れるとひとつの黒い羽がでてきた。
「羽?もしかして」
すぐさま携帯を取り出し南に連絡を入れた。
『どうされました?』
「南!今すぐ城に連絡を入れろ。キキにあの烏が会ってる」
『左様でございますか!今すぐ連絡を入れます』
「たのむ」
電話を切ったあと授業には出ず、すぐさまあり人の元へと向かった。
見勝った場所は先輩の教室だった。
先生にバレないように後ろから除くと、目当ての先輩の姿はなかった。
教室に居ないなら残りはあと一つ。
屋上だ。
勢いよくかけのぼりドアを開けるとそこには透が空を眺めていた。
「透さま。大変です」
「そんなに息切らしてどうした?」
「か、烏が!キキに会ったようです」
「はぁ?烏が!もうそこまで」
「はい?」
「いや、なんでもない」
「もうすぐ、戦が始まるのですか?」
「あぁ、一月後に奴らの息を止める」
「そうですか……では、仲間を増やしておきます。そして力も強くしておきます!」
「あぁ、頼んだぞ」