「⁉」

頭上から聞こえた声にびっくりして顔をあげた。

そこには、いつの間にかクラスメイトの男子がいた。

しゃがみ込んでいる私を見下ろしている。

「な、なに? からかいに来たの?」

慌てて涙をぬぐって、立ち上がった。

……みんな、碓氷くんと美結ちゃんのことは祝福するのに、私は当て馬で終わるのか……。

「こんなカッコいい奴フッといて、想はあとで後悔するって言っただけ。逃した魚はでかすぎだって」

「………」

え? その言い方……

「慰めにでも、来てくれたの?」

斜めに見上げると、少し照れたように見えた。頬を掻いている。

「別にー。木崎が一人でいたから、愚痴相手くらいはなれっかなーって」

……あはっ。