美結に飛びつきかけたバカの背中を蹴っておいた。
「いって! ……想、喧嘩売るんなら買うよ?」
「売らねーから安心しろクソガキ」
僕とバカが言い合いになりかけていると――
「想! 里宇ちゃん! お客様がいる前で何してるの?」
「「……すみません」」
美結に一喝されて、同時に謝る僕と弟だった。
……美結が大好き過ぎる僕ら兄弟は、美結には絶対反抗出来ない。
「ほらねー、想。美結ちゃんに来てもらって正解だったでしょ? 想も里宇も美結ちゃんには頭上がらないんだから。ストッパー任せちゃってごめんね、美結ちゃん。でもありがと」
美結の後ろから出て来た母さんがクスクス笑いながらそんなことをのたまう。
……美結を連れて来いって、そういう意味だったのか。
「私こそすみません。大声出しちゃって……」
母さんが美結の頭を撫でだした。



