「女装やめたら淹れてやるよ」
「うっわ性格悪っ。誰の所為でこんな格好してると思ってんだ!」
「……え、俺の所為だったっけ?」
あれ? こいつは確か『本当はこういう格好がしたかったんだ』って言って女装を始めたんだけど……そのどこかに僕、関わっていたっけ?
「な、なんでもないっ!」
「あ、里宇ちゃんおかえりなさいー」
キッチンとダイニングを仕切る暖簾を上げて、美結が顔を見せた。
途端、元気になるクソガキ。
「美結ちゃん⁉ うそ、美結ちゃんも来てたの⁉ ついにあたしにお姉ちゃんって呼ばせる気になっ――」
「美結のこと見るな、バカ」



