「どっちかっつーと女装趣味なだけ」
「へー、本物初めて見た。里宇くん? 里宇ちゃん? どっちがいいの?」
「里宇でいいですよ。美結ちゃんはあたしのこと、『里宇ちゃん』って呼ぶし」
「それはお前がチビの頃から知ってるからだよ」
「あはっ。だな。で、あたしはなんて呼べばいいですか? 後藤先輩と愛染先輩?」
「うん。じゃー、里宇、男にモテるでしょ?」
東輝が問うと、里宇は右手を広げて突き出した。左手の指も二本足す。
「この一週間で七人から告られました」
「一日一人っ?」
東輝が驚いて返すと、
「いえ。日曜に出かけて、そのときです」
「一日で七人⁉」
更に東輝の声が大きくなった。あー……。



