小唄が身を乗り出してくるけど、リビングに入った里宇を見て、二人は固まった。
「ありゃ? 想、どちら様?」
「俺の友達」
「あ、そうなんだ」
そして、女顔をめいっぱい利用した笑顔を見せる。
「はじめまして。碓氷里宇です。中三です」
バカが言うと、魂を抜かれていたようだった東輝と小唄がはっと瞬いた。
「はっ、はじめましてっ。愛染小唄、です。あの、めちゃくちゃ可愛い、ですね……っ」
「え? あ、ありがとうございますっ」
……声を高めにしてこういう演技するから、こいつはトラウマ男子を量産しているんだよな……。
「想と同じバスケ部の後藤東輝です。えっと、想の……」
「弟だ」
「あ、弟さん。あんまり想と似てな――って、え? え?」



