東輝に言われて、僕は顔をあげる。
「? なにが?」
「紅茶を茶葉から淹れる男子高校生。趣味ではないが作法はバッチリ知っている」
「あーわかる。想ってタイプで言うなら英国紳士」
え、僕は日本人なんだけど……。
……嬉しがっていいのかわからない評価だけど、あれの兄だって知られたらその評価は撤回されるだろうなあ……。
僕がそんなことを考えながら紅茶を淹れたところで、今日も騒々しく玄関ドアが開いた。
「ただいまー! あー、つっかれたー。あ、想―! 帰ってるんならあたしにも茶ぁちょうだいー」
「死ね。バカ」
帰って来たバカは、玄関からそんなことを言って来る。
「え? 誰だれ?」



