「想……、私……っ」

「いいよ。言わないで」

僕がそう言うと、美結は僕の服を握りこんで泣きだした。

雨音と美結の泣き声がぶつかる。

今、雨が降っていてよかった。美結を、独りにしないで……。

「っ、そう、ごめん、ね……急に、こんな……」

「大丈夫だよ。美結、とりあえずうち行こう?」

「え、でも……」

「美結に風邪とかひかせらんないの。嫌って言ったら抱き上げて連れて行くから。公道を」

「想が通報されるよね、それ!」

「ん。それが嫌だったら、はい」

僕が手を差し出すと、美結は渋々と言った感じで握り返して来た。