僕らの通っていた小学校は地域の公立で、走れば五分もかからなかった。
どこだ。どこにいる。
休日だから当然のように門は閉まっている。
門は飛び越えられる高さだけど……
僕が思案しているとき、か細い声が聞こえた。
「想……」
「美結っ!」
敷地に沿って設置されているフェンスの、もっと離れた場所からだ。
声のした方へ走ると、雨でずぶぬれの美結が、青白い顔で僕の名を呼んだ。
「想……っ」
「ごめん、遅くなった」
有無も聞かずに抱きしめると、美結はか細く震えていた。
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