「……は? え、なんの話?」
 
け、結婚? 美結と兄さんは兄妹だろうが。

少し先を歩いていた兄さんが、身を反転させて、僕の方を見て後ろ歩きをはじめた。

「だから、美結は僕のお嫁さんになるはずだったの。その美結の人生変えたの、想なんだよ」

………本気でなんの話?

意味がわからなすぎて足も停まってしまうってもんだ。

兄さんも立ち止って、僕を見たまま話した。

「小一の美結が想を大好きだって知った両親は、その話をやめたの」

「いや、……なんで兄さんと美結がそんな話になるの? 兄妹だろ……」

「従兄妹(いとこ)なんだよ、本当は」

「………は?」

「だからねー、美結は養子なんだ。父さんの、弟夫婦の娘なの」