「尚、ばらさないでよ」
「いや、想が単純だから引っ掛かっただけで、ふつーは無理っすからね?」
「え、なに、どういうこと? なんか怖い」
なぜか背筋が冷えて行くんだけど……。
そんな僕を横目に、尚がなんでもない様子で話し出した。
「美結が想に惚れてるって知った先輩が、じゃあ想に『兄』って呼ばせようって企んで、想にだけ『僕のことお兄ちゃんって呼ぶんだよ』って何回も言ってた。小一の頃」
「「何やってんですか⁉」」
「うそ……俺、そんなこと言われてたの……?」
欠片も記憶にない……。
「いやー、想は昔っから純粋で単純だから、簡単に呼ぶようになったよ?」
「東輝……俺、いつの間にそんな暗示にかけられたの……?」
自分の記憶が信じられなくて、東輝と小唄に助けを求めた。



