「先輩、想か美結に何かやったんすか?」 「美結の前で想に抱き付いただけだよ」 「先輩ホント懲りないっすね……」 僕と尚と兄さんだけで話していると、東輝と小唄が興味津々の瞳でこちらを見ているのに気づいた。 「どうした?」 「その人、想の兄さんなの?」 小唄に言われて、僕は一度瞬く。 ああ。 「違う、兄さんは美結のお兄さん」 「塚原の?」 東輝が繰り返すと、兄さんは軽く右手を挙げて会話に入って来た。