ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】


東輝と小唄の大声で僕たちに気づいたらしい兄さんが、ぱっと顔を明るくさせて大きく手を振った。

「想―!」

僕が兄さんの方へ行くと、いつものごとく抱き付いて来ようとしたから拳を突き出してみた。

「想……それはどういう意味?」

兄さんは、抱き付く格好の準備なのか、両手を広げていて、僕が拳を突き出したことでその手は行き場をなくしている。

「美結が嫌がることやったら兄さんでも殴るつったろ」

僕が宣言すると、兄さんはまた涙を浮かべた。

「尚~っ、想が僕のことぶん殴るとか言うんだよ? せっかく想が戻って来たと思ったのに~」

とばっちりが尚に行ってしまった。

尚はため息苦笑まじりで応じる。