そこに、2つの影が映し出される。


1つはサラサラとした桃色の長い髪を揺らした女の子のもの。
もう1つは緩やかなくせ毛の薄い灰色の髪をした男の子のもの。


2人はこの惑星に住む、唯一の人間…いや、天使だった。


「ねー!ねー!蒼月〜?なんで今日はこぉ〜んなにお月様が綺麗なんだろうね?」

「星海が可愛いからじゃない?」

「んもー!それ、答えになってない!」


桃色の髪をぱさり、と揺らして、プリプリと怒る彼女のご機嫌を取ろうと、彼はぐるり、と彼女の前に先回りして彼女を抱き締める。


「ごめん、ごめん。でも…星海が甘い"言の葉"を包み込んだから、あの月は今満足気にきらびやかな光を増してるのかもね」



そう、言うと彼女は誇らしく微笑んでから、「そうかなぁ?」と言って背伸びをした。