「ひまりちゃん!サインもらえないかな?」
学校に行くとたまにこうした依頼をされる。
「ごめんなさい。サインは禁止になってるの」
出版社の方針でサインは書けないと毎回断っている。
別に、そんな方針などない。
ただ、サインを書くと「一緒に絵もつけて欲しい」と頼まれるのが面倒なだけだ。
もう、自分の絵を見てくれる人なんかいない。
色紙に描かなくてはならないのは、あの絵だ。
あれは、あたしの絵ではないから。
「ひまりちゃんって、漫画のときと美術のときだと絵柄全然違うよね。まぁ、もちろん上手だけど」
「はは、まぁ、そりゃ違うかな」
美術の時間はあたしが自分の名前で、自分の絵を描ける唯一の時間だ。
だから、あたしは美術の時間が大好き。
「ねぇ、あんたって人生いろいろ損してそうだな」
隣の席のいつも寝ている原崎(はらさき)くんがあたしを見ている。
「は?」
なんか、すごく失礼なことを言われた気がするのは気の所為だろうか。
「ね、ね、ね!原崎!美術部のコンクール優勝したって本当!?」
あたしが彼の言葉にイライラしていると、クラスの女の子が走ってやってきた。
学校に行くとたまにこうした依頼をされる。
「ごめんなさい。サインは禁止になってるの」
出版社の方針でサインは書けないと毎回断っている。
別に、そんな方針などない。
ただ、サインを書くと「一緒に絵もつけて欲しい」と頼まれるのが面倒なだけだ。
もう、自分の絵を見てくれる人なんかいない。
色紙に描かなくてはならないのは、あの絵だ。
あれは、あたしの絵ではないから。
「ひまりちゃんって、漫画のときと美術のときだと絵柄全然違うよね。まぁ、もちろん上手だけど」
「はは、まぁ、そりゃ違うかな」
美術の時間はあたしが自分の名前で、自分の絵を描ける唯一の時間だ。
だから、あたしは美術の時間が大好き。
「ねぇ、あんたって人生いろいろ損してそうだな」
隣の席のいつも寝ている原崎(はらさき)くんがあたしを見ている。
「は?」
なんか、すごく失礼なことを言われた気がするのは気の所為だろうか。
「ね、ね、ね!原崎!美術部のコンクール優勝したって本当!?」
あたしが彼の言葉にイライラしていると、クラスの女の子が走ってやってきた。