そう言われてやっと、自分のしていることに気づく私。
ごめん、と咄嗟に謝って体をどかそうとするのに、引き寄せた手がそれを許してくれない。
「しぬほど時間かけるから」
「え、」
「もういいってくらい甘やかして、から、ね」
から、ね、の続き。
待ったけど結局言ってくれなかった。
じっと見つめてたら、私の前髪をさらっとすくって、額に唇を落としてくれた。
じん、と熱が伝わって、油断してしまう。
次の瞬間には両手首を片手で掴みあげられて、額にあったはずの唇は、そのまま下のほうに……。
「ひゃぅ、待っ……──────」
びくっと肩があがる。慌てて唇を噛んでも、鼻にかかったようなヘンな声が漏れてしまう。
触れ方がおかしくなりそうなくらい優しいのに、ぜったいに待ってはくれない意地の悪さ。
忘れたころに唇に戻ってきて
「はい、噛まないで」
って、やんわり注意するんだ。



