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遼くんとの、記憶は、苦いからあんまり思い出したくない。
好きだから、というよりも、あのときはただ好きな人に触れていないと心が壊れそうなくらい寂しかったから。
甘える、甘えられる、ものでも、気持ちがいいものでも、どれでもない。どれとも結びつかなかった。
それでも、大事な人との大事な思い出で、後悔という言葉では片付けてしまいたくない。
──────それだけのことで。
「中島くんがぜんぶ1番だよ」
過去の女の子たちに嫉妬してる面倒くさい私が証拠だよ。
「どう頑張っても中島くんが慣れてるのがしぬほどいや……だし、これからもずっとそれは変わらないだろうし、うまく言えないけど、そういうことだよ」
顔を見られたくなかったから抱きついた。
ブラをはずされてることをすっかり忘れて。思いっきり、ぎゅっと……。
「ちょ、……っ、俺もね、ふつうに余裕ないからヘンなことしないでくれる。主導権は握らせてね、頼むから」



