「べつに慣れてない」
「嘘つかないで、っ。さんざん遊んでたじゃん。
私よりはるかに可愛い女の子たちのこと、いっぱい知ってる……じゃん」
面倒くさい私を見つめながら、中島くんは下着に掛けていた手を一旦離した。
「……たしかに遊んでし、色々知ってる、」
「…っ」
「けど、はのんは遊びじゃない」
きれいな指先が私の涙をやさしくすくう。
「その違いだけじゃ、許してくれない?」
しかたないのは、中島くんの、こういうところが好きだってこと。
「だって私、中島くんの周りの子たちみたいに胸おっきくないし足も長くないよ」
「そんなのいちいち知らねぇ覚えてねぇー、から。俺が好きなのはお前。俺は、これだけでいいんだけど」
つーか、と続けながら
ちゅ、とキスを落としてくる。
「俺もおかしいくらい嫉妬してるからね」
「え、」
「りょーくんに。……あーあ。この名前、ぜったい出したくなかったのに」
誤魔化すみたいに、またキスが降ってくる。
私が考える余裕もなくなるくらい。
「……はのんがりょーくんにされてないこと教えて。俺が、1番になれることぜんぶ」
口元は変わらず妖しく笑っているのに、声だけは私の耳元に切なく響いた。



