.
.
あれからお互いに″その話″をすることなく、1週間経ってしまった。
だけど、そのちょうど1週間後経った日のこと。
「むり」
「え?」
「しぬ。……理性が」
部屋でなんとなくいい雰囲気になって、キスしてたら、急に。
両手で顔を覆った中島くんがそう溢した。
「……いつまで待てばいい?」
こちらの機嫌をうかがうように、指の隙間から黒い瞳をのぞかせる。
「え、……あう」
心臓が早鐘を打つ。
爆速。
さっきまでちょっとSっ気まじりに強引に迫ってきて、主導権にぎってたくせに。
酔わされてたせい。
うっかり滑る。
「い、1週間……とか?」
自分の口から出てきたセリフにびっくりする。
でも当然、一度吐いた言葉は戻せないし、嘘ではないから、戻さなくてもいい……んだけど、とりあえず恥ずかしい。
そもそも、1週間後は動物園でデートの約束をしてたんだけど。
「う、あ、あの、動物園から帰ったあと……とか」
どうですか、という言葉は声にならずに消えていった。



