そんなこと考えてたら
「……ん……っ」
って、はのんの唇から声が漏れて、思わず後ずさった。
起きたのか?
と思ったけど、頭の位置を少しずらしただけらしい。
ホッと安堵のため息。
今のうちに火照りを冷まそう。
洗面所で冷水浴びれば、ちょっとは……。
とりあえずベッドから離れようとして。
でも視線は、はのんに釘付けの俺。
後ろにさがりながら、テーブルの角にガン、と足をぶつけた。
……ってぇ!
じゃなくて。
やばい、今、デカい音した。
ズキズキ痛む足と、はのんの顔を交互に見る。
起きるな、起きるな。
念を送ったのに、見事に裏切ったはのんが
うっすらと目をあけた。
「……ん……」
つけっぱだった部屋の電気がまぶしかったのか、いったん目を細めて。
だけど、ぼんやりとした様子で、俺の姿を捉える。
「……ん……?」
そうなったら仕方ないと、歩み寄った。
「……おはよ」
声をかけると、覚醒しきってないとろんとした目に、次第にハイライトが入り始めて。
白いほっぺたが、みるみるうちに紅潮していく。



