「えっ、あ、どうも。」

誰だろう?

突然話しかけてきた隣の人は、

自然な茶髪が印象的で

目鼻立ちがはっきりしている

優しい雰囲気のイケメンだった。

「牧原さんですよね。
よろしくお願いします。」

なんで私の名前知ってるんだろう?

「・・こちらこそ。」

しゃべったことある人だっけ?

名前を覚えるのが苦手な私は、クラスのほとんどの名前を覚えていない。

だから話しかけてきた人が誰なのかもわからない・・。

かっこいいオーラを放っていてなんかしゃべりにくそうなタイプだな・・

優しそうだけど、心のバリアが強いタイプなんだろうな・・

きっと。

そんなことを思いながら私は窓の外を眺めていた。

外は梅雨ということもあって雨が降っている。

昨日の夜から降り続いている雨で校庭はぐしょぐしょ。

雨を見ていると、昔のことを思い出してしまう。

今日みたいにずっと降り続く雨のように、永遠と泣き続けたあのつらい日々を‥

私は暗い気分になりたくなくて、教室の中に視線を戻した。