「だから、小笠原がそう言ってたって石原からも伝えてくれよ。個人的に親しいんだろ?」


「いえ、別にそう言うわけじゃ・・・。」


と戸惑い気味に答えた私に


「ま、いいや。ところでお二人さんは恋をしてるか?」


とまたまた意外な質問が。私達がはぁ?という表情をしていると


「俺な、高校時代から付き合ってた女がいたんだが、就職した途端、すれ違いになって、まもなく別れた。まぁ、よくある話だよな。」


と語り出す課長。


「その頃はとにかく仕事が面白くってな。デートの時間も、もったいないくらいに思ってたから、仕方ないんだが。『出世は男の本懐』って言葉があるが、まぁ出世が男だけの本懐かどうかはともかく、今回こうして課長なんかにしてもらって、自尊心を満たされたのは確かな話。」


「・・・。」


「出世、というかビジネス上の成功が人生のモチベーションになるのは間違いない。でも恋愛はそれとはまた違った力をくれる。好きな女を口説く、振り向かせたい、自分のモノにしたい。このモチベーションはかなりのものだって、特に最近思ってる。」


はぁ・・・。


「とにかく俺は恋愛も力抜かないでやる。2人に、彼氏がいるかなんてことは、あえて聞かんが、まぁお前達もそっち方面にも力入れた方がいいぜ。これも人生の先輩としての忠告。」


そう言って、課長は意味深な笑みを私達に向けた。