「半分負け惜しみかもしれないけど、私、あなたと再会出来て、やっぱりよかった。あのままだったら、私はずっと中学2年のあの時から立ち止まったままだったもの。」


「石原・・・。」


笑顔を浮かべてそう言う私に、歪めたような表情のままの澤城くん。


「ドライブ、誘ってくれてありがとう。これで私も本当に前を向いて歩き出せる。澤城くん、私はやっぱり、あなたのことが好き。だけど、届かない想いとわかった以上、諦めるよ。」


「・・・。」


「口で言うほど、簡単じゃないだろうけど、でも、もう子供じゃないから。」


「石原・・・。」


「でもさ、私達、中学の時のクラスメイトで、今は会社の同僚。同じオフィスに勤務してるんだから、GW明けたら、また知らん顔なんてしないでよ。」


「そんなこと、絶対にしねぇよ。石原、俺、お前のこと嫌いじゃないぜ。むしろ好きだよ、だけど・・・。」


「恋愛対象としては見られない、ってことでしょ?」


「いや・・・まぁ・・・。」


私のその言葉に、澤城くんは口ごもる。


「私にとっては正直キツいけど、でも仕方ない。現実として受け入れます、受け入れる努力をします。」


「・・・。」


「せっかく連れて来てもらったから、もう少し、一緒に海、眺めさせて。いいでしょ?」


「ああ。」


「ありがとう。」


その澤城くんの短い返事に、私は笑顔でそう答えていた。


気まずいと思ったドライブだったけど、やっぱり来てよかった。私は美里に心の中で感謝していた。