「最近、たまにだけど、OGとして、練習に出させてもらってる。」


「へぇ。」


「当時は、正直真面目な部員じゃなかったけど、ちゃんとやってればよかったと思うよ。勉強も同じ、あぁもっとやっとけばなぁ、なんて大人になって思うよ。」


確かになぁ。


「じゃ、行こうか。」


「おいおい、いいのかよ、勝手に入って。」


確かに俺はOBだけど、今は物騒な事件も多く、学校の出入りも厳しいと聞いている。


「大丈夫だよ。あとでOBの友達が来るって、顧問の了解もらってるから。」


そう言うと、小川は俺を先導するように歩き出した。


「これさ、実は当時のユニホームなんだよ。」


そうか、なんか見覚えあるなとは思ったんだ。


「久しぶりに引っ張り出してみたんだけど、着られちゃったよ。中学の時から、全然成長してないんだね、私。」


そう言って苦笑いする小川。俺は、なんとも反応のしようがなく黙る。


やがて、俺達は体育館横にある備品倉庫の裏にやって来た。


こんな所に連れて来て、これから俺に何を話すつもりなんだろうと、俺が戸惑っていると


「覚えてる?」


「えっ?」


「あの時、卒業式の3日前、私はあんたをここに呼び出した。聞いて欲しいことがあるって。」


そう言うやいなや、小川はいきなり俺に向かって、跪くと


「ごめんなさい!」


と土下座したんだ。