「でも考えてみたら、アズちゃんが来るのって、いつも兄貴がいない時だったかな。最初の頃だけど、私と遊んでるの、お兄ちゃんには内緒ね、って言われたのも覚えてる。なんでかな、とはその時、思ったけど、特に深く考えずに。別に、それを守ってたってわけじゃないけど、栞菜も言った通り、兄貴はアズちゃんから直接聞いて知ってるだろうと、まぁ今の今まで思ってたくらいだから、特別何も言わなかったかも。」


なんだよ、それ・・・。俺はキツネにつままれたような気持ちになっていた。


「で、いつ頃まで、石原と遊んでたんだ?」


「俺は、5年生になるくらいには、やっぱりだんだん女子と遊ぶのが、恥ずかしくなって。」


「健ニィにとっては、初恋の人だもんね。」


からかうように栞菜に言われた健吾は


「そりゃ、あんな可愛くて、優しい子、惚れるだろ。」


と照れくさそうに言う。


「私は引っ越す直前くらいまで、仲良くしてもらってた。勉強教えてもらったこともあったし。」


なんなんだろう、この疎外感。石原はもちろん、弟妹達も何も話してはくれなかった。悪気はなかったんだろうけど、なんか釈然としない。


「アズちゃん」は今、会社の同僚なんだと言うと、さすがに2人とも驚いていた。


もっとも、こないだコクられて、断っちまったことは言わなかったけど、な・・・。