「で、結局、誤解は本日現在まで、解けず終い?」


「うん・・・。」


新入社員歓迎会の翌日。美里と会って、昨日の顛末を報告すると、彼女は深いため息をついた。


「それにしても凄いね。お酒の席とは言え、俺はコミュ障だから、あんまり話し掛けてくんなって、上司もいる前で言い放ったんでしょ?アイツ、大丈夫なの?」


と呆れたように言う美里。


「あんたの友達が怒るのも、無理ないよ。アイツには、昔説教されたけど、今こそ言ってやりたいよ。『あんた、何考えてるの?社会を舐めてんじゃないよ』って。」


「でも、私は澤城くんらしいと思ったけどな。」


「梓はいつでもアイツの味方だね。アイツらしいから、まずいんじゃない。」


そっか・・・。


「で、どうするの。やっぱりコミュ障のガキンチョくんのおもり役に立候補する気?」


「うん。とにかく私は澤城くんに、自分の気持ちを伝えたい。この間のことで、私はまだ彼に嫌われてるって、わかったけど、でもそれでも構わない。私は彼が好きなんだもん。」


そう言い切った私の顔を、少し眺めていた美里は、またため息混じりに口を開いた。


「今更だけどさぁ。澤城って、そんなに一途に思い続ける価値のある男?」


「えっ?」


その美里の言葉に私は驚いた。