翌日、目を覚ました俺が、時計に目をやると、既に正午に近かった。


胸糞悪い飲み会から帰って来たあと、家で飲み直した俺は、どうやら風呂にも入らず、そのままベッドに潜り込んでしまったようだ。


「兄さん、いい加減に起きてよ。いつまで経っても片付かないじゃない。」


するとしびれを切らしたような声が、ドアの外から。妹の栞菜(かんな)だ。


「すまない。今、目が覚めたんだ。すぐ降りるよ。」


そう返事をすると、俺は起き上がった。


下に降りた俺が、まず仏壇に手を合わせたあと、食卓に向かうと、そこには妹の手で、朝食が並べてある。


「サンキュー。」


そう妹に声を掛けた俺は、手を合わせると箸を付ける。


健吾(けんご)は?」


「もうとっくに出掛けたよ、就職活動で。」


健吾は3つ下の大学4年生。今は、就職活動に追われる日々。


「じゃ私も出掛けるから。あと、よろしくね。」


そう言い残して、食卓を出た栞菜は誕生日が来れば、20歳の大学2年生。高校時代から付き合っている彼氏が居て、きっとこれからデートなのだろう。


果たして少ししてから、明らかにめかし込んだ恰好で顔を出した栞菜は


「行ってきます。ちゃんと片付けといてよ。」


と言って、足取りも軽く出て行く。全く料理も後片付けも、お前に教えたのは、俺だろうに。俺は、思わず苦笑いだ。


そして、家には他に誰も居なくなった。