翌朝、冬の日の出は遅く、まだ真っ暗だったが、目が冴えたまま、ベッドに横たわってることに耐えられなくなって、俺は居間に降りた。


電気を付け、エアコンのスイッチを入れて、椅子に座る。昨日は携帯が震える度にビクビクしたが、訳のわからん広告メールが入って来るだけだった。


しばらくボヤッと座っていると


「兄さん?」


と声が。振り向くと妹の姿が。


「どうしたの?こんなに早く。」


「いや、なんか目が覚めてな。お前こそ、どうした?」


「喉、乾いちゃって。」


なんとなく会話がぎこちないのは、妹とケンカしてるから。GWに続いて、妹のお泊りデートの件で揉めたのだが、昨日は12時は過ぎていたようだが、結局彼氏に送ってもらって帰って来た。


それに気付いてはいたが、特に出迎えることはしなかった。


「どうするの、もう起きる?」


「そうだな、もう眠れそうもねぇし。」


「じゃ、朝ご飯作るよ。着替えて来るね。」


「今朝、お前の番だっけ?」


「ケン兄だけど、朝帰りだったみたいだから、いつ起きてくるかわかんないよ。」


そう言って笑うと、妹はいったん自分の部屋に戻って行く。


やることは、やって来たのかどうかは知らんが、妹は俺の言うことを容れて、お泊まりはしなかった。弟の朝帰りには全く文句を言うつもりがないのだから、なんで私にだけ、と妹が不満を抱くのは無理はないかもしれない。


妹が可愛くて、心配で・・・というのは、たぶん保護者気取りの俺のエゴなんだろう。贔屓目はあるだろうが、妹はしっかり自分を持った素直で明るい女性に成長したと思う。


ちょっとムキになって、いろいろ言い過ぎてたかもしれない。そんなことを考えてしまったのは、やっぱり石原のことがあったからだろうな。


そのあと、仏壇にいつものように、手を合わせに行った俺は両親や翔真に、石原が間違ってもそちらに行かないように、力添えをと祈らずにはいられなかった。