すると、手術中のランプが突然消えた。それに気付いた俺達は、思わず息を呑む。


やがて扉が開き、ストレッチャーに乗せられた石原が出て来る。


「梓!」


両親が小川が内田が、石原の名を呼んで、ベッドに駆け寄るが、俺の身体は動かなかった。


スタッフ達が、静かにストレッチャーを運んで行く。


「ご両親ですか?」


すると後ろから声がして、振り返ると執刀医の姿が。我々の視線が、一斉に彼に集まる。


「容態について、ご説明いたします。こちらの部屋にどうぞ。」


執刀医の言葉に、ご両親が緊張の面持ちで頷く。ドラマのようにこの場で何の説明もないのは、これが現実のスタイルなのか、それとも悪い状況なのか・・・残された俺達の不安が募る。


「とりあえず、俺達は病室に。」


課長の言葉に、内田や警察官、お婆さんまで動き出したが、俺は立ち止まったまま。それに気付いた小川が


「どうしたの?行こうよ。」


と声を掛けて来る。俺はそんな小川をチラリと見ると


「小川、俺はこれで失礼する。」


と告げた。


「何、言ってるの?」


驚く小川に


「別に俺がここにいたって、何も出来やしない。それに・・・もう正直耐えられん。翔真の時のことばかり、思い出してしまって・・・。スマン、何かあったら連絡くれ。」


と言って歩き出した俺を


「ちょっとサワ、待ってよ!」


と小川は引き留めようと声を掛けるけど、それを振り切るように、足早にその場を後にした。