病院に着き、駐車場に車を停めるのも、もどかしく、俺達は受付に走る。


「すみません。さっき、石原梓と言う者が、救急で搬送されてるはずなんですが。」


小川が聞くと、現在緊急手術中とのことで、手術室の場所を聞いた俺達は、また走り出す。


「病院内は走らないで下さい。」


受付の人のそんな注意の声なんか、耳に入るわけがない。


手術室の前には、石原の両親がいるのは当然としても、なぜか小笠原課長の姿が。俺も驚いたが


「澤城・・・。」


課長の方も驚いている。小川は石原の両親と言葉を交わしている。


「どうして、ここに?」


「それはこっちが聞きたいくらいだ。」


「一緒に来た小川は、中学のクラスメイトで石原の親友です。たまたま彼女と会っていたら、一報が入って、それで慌てて駆けつけて来たんです。課長は?」


「事故に遭った時、梓・・・いや石原は身分証明になる物を社員証しか、持ってなかったらしい。それで会社に連絡が来て、土曜出勤をしていた俺が対応した。急いで石原のご両親に連絡して、そのまま、俺も駆けつけたわけだ。」


なるほど、そういうことか。でも・・・?


「課長、今日出勤予定でしたっけ?」


「聞くな。石原とのデートがダメになって、家で1人でウジウジしてるのに、耐えられなくなって、会社に出て来てしまった。それが・・・まさか、こんなことになるなんて・・・。」


と表情を暗くして答える課長に、それ以上突っ込めなくなってしまった俺は、話題を本題に移す。


「で、石原の様子は?」


「わからん。俺が来た時には、オペは始まっていたし、石原を搬送して来た救急隊員達も引き上げた後だったんで、事故の状況もわからん。」


その課長の言葉に、俺達は暗然と顔を合わせる。