昨日、電話でも少し話したけど、私はここ数日の出来事を、改めて美里に話した。


私の話を美里はじっと聞いていたけど、一段落すると


「この前、私が梓達に迷惑かけちゃった時さ。」


「うん。」


「実は私、彼がなんであんなに怒ってるのか、よくわからなかったんだ。」


と語り出した。


「だって相手はサワだよ、何百回会ったって、アイツとそんな仲になんか絶対ならない自信あるし。」


と言って笑う美里。


「それにあの時の私は、とにかく誰かに話を聞いてもらいたかったから。梓とすれ違いになっちゃって、代わりに顔見知りのサワを誘った。それ以上の他意なんて、当たり前だけど全くなかった。だけどね・・・。」


ここで美里は表情を改めた。


「彼にしてみれば、やっぱり嫌だよね。彼はサワが何者で、私とどんな関係かもわからないんだから。私だって、例えば彼と梓が2人で会ってたとしたら、やっぱりモヤつくよ。どんなに梓のこと、親友で信じてたとしても。」


それは、そうだよね・・・。


「私は軽率だったんだよ。あの時、サワも言ってたけど、居酒屋を出て、そのあと私達がどこに行ったかなんて、有名人でもないんだから、誰も気にしてないし、誰も証明してくれないんだよ。」


確かに・・・。


「でも、私とサワの話を聞いて、私の彼氏は私を信じてくれた。証拠なんか、何もない。2人して自分のこと、騙してるかもしれないのに。だけど、彼は信じてくれた。それは彼が私のことを本当に好きだったからだと思う。極端に言えば、例え騙されたとしても、今回は許そう、信じてみよう、そう思ってくれたんだよ。」


そう言った美里の顔は本当に嬉しそうだった。