「おかしいと思ってたんだよ。」


「・・・。」


「GWに梓を合コンに誘ったら、あんたが慌てて割り込んで来た時から。」


そんなこと、あったな・・・。


「梓があんたのこと、昔から好きだったって言うのも驚いたけど、その梓からコクられて、あっさりあんたが断ったのを聞いて、ワケわかんなくなった。コイツ、何考えてるの?って。私の勘違いかなって思った時期もあったけど、でもミエミエだったもんね。あんたが梓、好きなの。」


課長にも、そう言われたけど、俺ってそんなにわかり易かったのかな。


「私がわかるくらいなんだから、梓自身がそれに、気づかないわけないでしょ。」


「・・・。」


「だから梓は煮えきれないんだよ、課長に対して。私には、いやほとんどの女にとって、課長よりあんたの方がいいなんて、全く理解出来ないけど。でも梓は、やっぱりあんたの方が好きなんだよ。」


その内田の言葉に、俺は思わず、視線を逸らす。


「私と梓、今冷戦中って、わかってるよね?」


「ああ。」


「私・・・課長と寝たから。」


「なに?」


いきなりのカミングアウトに、俺は思わず目を剥く。


「忘年会の二次会の途中で、2人で抜け出して、さ。」


「・・・。」


「バレてないつもりだったんだけど、田代が気付いてたらしくて、アイツ、梓に告げ口したみたい。それで大喧嘩になった。」
 

悪びれる様子もなく、話し続ける内田を呆気にとられながら、俺は見ている。


「今日は2人で話してるみたいだから、今頃、修羅場にでもなってるんじゃない?」


冷笑を浮かべる内田。


「梓にはっきり言ったんだ。いつまでも煮え切らないあんたが悪いんだって。あんた達2人に振り回されてる課長が気の毒で見てられなかったから。だから、私、謝らないからってね。」


そう言い切った内田に、俺は言葉を失っていた。