ただ目的地もなく、闇雲に歩いてるとしか思えない内田。しばらくは黙って付いてったけど、さすがにしびれを切らした俺は


「内田、いい加減にしてくれよ。一体、なんのつもりだよ、どこまで行くつもりなんだ?」


と普段、内田に対しては、意識しているさん付けも思わず忘れて言ってしまった。


「仕方ないでしょ、人少ないとこ、見つかんないんだもん。なんで、こんな、どこ行っても、人ばっかりいるのよ。」


それに対して、内田もなぜか怒っている。世間がクリスマスだなんだと浮かれてるこの時期に、繁華街に人が多いと怒っている内田が可笑しくて、俺は吹き出しそうになるのを堪える。


「もうしょうがないから、ここでいいよ。みんな自分たちの世界に浸ってるから、私達のことなんか、誰も気にしてないだろうから。」


と言って、改めて俺の顔を見た内田は


「あんたさぁ、もういい加減にして欲しいんだけど。」


となぜか、またキレて来る。


「何をだよ。」


つられて、なんとなく声を荒らげる俺。


「いつまで、自分の気持ちから目を背けてるつもり?と言うか、いつまで逃げ回ってるつもりなのよ!」


「ハァ?」


「あんた、好きなんでしょ?梓のことが。」


そう決めつけて来た内田に、驚いて息を呑んでしまう。


「迷惑なんだよ、本当に。」


そう言って、俺を見る内田の視線は、鋭くなる一方。


「何、言ってんだよ、お前・・・。」


「あんたに『お前』なんて、言われたくない!」


なんか、何言ってもキレられてるな、俺・・・。