昼休み、千尋はまだ憤慨している。


「何なのよ、アイツ。新人のクセしてさ。ちょっと許せないんだけど。」


「そうだよね。確かにミスした梓は悪いけど、そんな言い方ってないよね。先輩に対して。」


同席している他の子も相槌を打つから、千尋はますますヒートアップ。


「戻ったら、ガツーンと言ってやるから。ね、梓。」


「だからもういいって。もともと私が悪いんだから・・・。」


「何言ってんのよ。梓は甘い、あんなんじゃ、本人の為にもならない。いい年して、口のきき方も知らないんだから。親の顔が見たいよ。」


親の顔・・・その千尋の言葉に、私はハッとする。


「とにかく、千尋の気持ちはわかるけど、今回はもうこれ以上、何も言わないで。お願い。」


「梓・・・。」


「なんで、そんな奴庇うのよ。」


「庇ってるわけじゃない。あまりに恥ずかしい私のミスが原因なんだがら。もうこのくらいにして。」


こう言って、私が頭を下げると、みんなは不承不承に、その場は鉾を収めた。