待ち合わせ場所のカフェに着くと、既に小川と彼氏は相い向かいで座っていたが、腕組みをして小川を睨んでいる彼氏に対して、小川は膝に手を置いて、俯いている。いつもの勝ち気な小川とは似ても似つかない姿に、俺達は状況の悪さを悟る。


俺達は一瞬顔を見合わせて、中に入った。俺達の顔を見て、小川はホッとしたような顔になるが、逆に彼氏の表情はいよいよ厳しくなる。


「失礼します、お待たせしました。あの、澤城と申します。」


テーブルの横で、挨拶した俺をギロリと見た彼氏は、しかし俺には何も言わずに、横にいる石原に声を掛ける。


「君は?」


「初めまして、石原梓と申します。美里とは幼稚園以来の親友で・・・。」


とややオドオドしながら自己紹介を始めると


「ああ、覚えてるよ。部活終わりに、よく小川を迎えに来てた子だよね。」


と笑顔になりやがった。そうか、この男、俺達の中学の先輩になるんだっけ。挨拶を終え、俺は小川の隣に、石原は他に座る所がないから、先輩の横に座る。途端に先輩は仏頂面に、やれやれ・・・。


「澤城くん・・・だったっけ?早速だが説明してもらおうか。」


「小川からは話を聞いたんですか?」


「昨日、石原さんと会おうと会社を訪ねたら、行き違いになってしまい、たまたま君と会ったんで、2人で飲みに行った、と言ってる。」


「その通りです、それ以上付け加えることは何もありませんよ。」


俺は答えた。