小川と俺の飲み会は、2つのリアクションを生んだ。


1つは、俺より少し後に退社した田代が、俺と小川が話して、2人で居酒屋に入って行くまでの一部始終を見ていて


「澤城さんが昨日、女の人と2人で飲みに行ってました!」


と翌朝、何やら大ニュースかの如く、騒いでいた。別に悪いことをしていたわけでなし、何なんだよと思ったが、普段の俺から、女子と2人でどこかに行くなんて、想像も出来なくて、ビックリしたんだそうだ。


特に説明する義務も責任も感じないので、ほっといたら、そのあと出社して来た石原が


「ゴメンね、澤城くん。昨日私の代わりに美里に付き合ってくれたんだって?」


とあっさりネタばらし。


「昨日は千尋達と電波の届きにくい地下のお店に行ってたから。美里からの着信、全然気づかなくて。」


そのあと、俺達は小川のことやなにやら、ちょっと盛り上がった感じで、話したんだが、課長が鋭い視線を送って来たのは参った。


気づいているのか、いないのか。石原が全く気にしてる素振りもないから、余計に睨まれちゃったよ。


そのあと、課長の俺に対するモノ言いが、いつもにも増して、キツかったのは、絶対気のせいじゃない。


俺と石原は同じオフィスに務める同僚なのはもちろん、中学時代のクラスメイトなんだから、こういうことがあってもしょうがねぇだろう。


全く、なんとかの穴が小さい奴だと、内心毒づいていた。