「あと、これ。」


とパソコンから打ち出したような紙を私の前に出す。


「このビジネスホテル取ってあるから。」


「えっ?」


「パソコンで検索する限り、あと1時間もすれば、嵐の峠は越える。だけど、計画運休だから、どっちにしろ、今日はもう帰れねぇよ。だから、そこに泊まれ。」


「澤城くん・・・。」


「こうなるかなと思って、昨日のうちに、抑えといたんだけど、仕事終わりそうもないし、さっきも言った通り、俺はここでどうにでもなるから。今、ホテルに電話して、泊まる人が変わるって、連絡しといたから。」


「でも・・・。」


「遠慮無用。そこにお前に居られると、なんか監視されてるみたいだし、あとで課長に誤解されるのも嫌だから。」


その澤城くんの言葉に、私は驚かされる。


「どういう・・・こと?」


「泊まるとこ見つかりましたから、安心して下さいって、課長に報告してやれよ。数分置きにLINE音が響くんじゃ、耳障りで集中出来やしねぇ。」


「澤城くん・・・。」


私は呆然とする。なんでLINEの相手が小笠原さんって知ってるの・・・?


「よかったな。俺が振ったお陰で、あんないい男を捕まえられたんだから。感謝しろよ。」


だけど、何事もなかったかのように、そう言った澤城くんは


「あと、飲み物はセルフサービスだからな。」


と付け加えて、席に戻ると、いつものカップを口に運んだ。