「そりゃ、チャラいより、いい加減よりは、よっぽどいいんだけど、モノには限度ってものがあってさ。この人、私と会ってて楽しいのかな?本当に私と付き合いたいと思ってくれてるのかな、なんて考えちゃうんだ、最近。」


そう言って、ため息をつく美里。そんな彼女の様子に、私がちょっと掛ける言葉に困っていると


「あっ、ゴメン。梓がせっかく順調なのに、嫌な話、聞かせちゃったね。」


「そんなことないよ。でも美里・・・。」


「わかってる。あの人が、私といい加減な気持ちで付き合ってはいないってことは。そういう人なんだってことも理解してる。梓の上司と違って、世間の風に当たり慣れてないというか、そんな感じ。だから、ちょっと違うなって思うことはあるけど、だからって愛想が尽きたとか、そんなんじゃないから。」


そう言うと美里は、私を安心させるように笑った。


「それより、梓は来週は山場だね。」


「えっ?」


「3回目のデートは1つの節目だよ。それもクルマという密室で、ほぼ1日2人きり。何かが起こらない方が不思議じゃない。」


「美里・・・。」


「彼氏との間がグッと縮まるチャンスだよ。心して、臨まないと。」


そう言って、イタズラっぽいを笑みを浮かべる美里。


(彼氏、か・・・。)


そんな美里を見ながら、心の中で、私はそう呟いていた。