「『恋はいつでも初舞台』って言葉もあるじゃん。あ、これ、俺が新人の頃におっさんの先輩がカラオケで歌ってた歌の一節。」


なんて話をしているうちに、いつの間に私達は駅の構内に。


「今日は本当にありがとうございました。楽しかったし、美味しかったです。」


「こちらこそありがとう。気をつけてな。」


「はい。」


「じゃ、また来週な。」


そう言って歩き出そうとした小笠原さんに


「あのう。」


と呼び止めるように声を掛ける。


「どうした?」


「あの・・・携帯の番号、仕事用のじゃなくて、プライベートの・・・教えて下さい。」


「石原・・・。」


その言葉に驚いて、私を見る小笠原さん。


「メアドとあとLINEもされてるなら・・・お願いします。ご迷惑でなければ、もっとお話したいです、小笠原さんと・・・。」


「もちろん、喜んで!」


満面の笑みになって、携帯を取り出す小笠原さんに、私も自分で言い出したくせに恥ずかしそうに携帯を出す。


いろいろな操作をしてくれたあと、携帯を私に返しながら


「ありがとう。」


と言ってくれた彼に


「はい。」


と私は頷いていた。