風邪をひいたくらいで。
わたしに、拒絶されたくらいで。
ここまでのこと言うだろうか?
「泣いてるの、花」
「わたしは、嫌だよ。巧くんが。辛そうにしてるのは」
それで喜んだりなんて。
絶対に、絶対にできない。
「消えたりしないで」
そう言わなきゃ。
引き止めなきゃ、本当に巧くんがいなくなってしまう気がした。
「テーブルのうえ」
「え?」
「薬が、ある」
「ほんと?」
急いで向かう。
目に入った、袋に書かれていた文字。
“がん医療センター”
「……これ」
「手術」
他人のわたしが受け入れられないことを。
「しても。助かるかどうか」
このひとは、受け入れている。
命を軽くなんて考えていない。
「いくら詰め込んでも、満たされない、人生が。花と出逢って。意味を、持った」
ねえ。
すごい、汗、かいてるよ。
「病院、行こう」
「いやだ。ここにいる」
「ワガママ言わないで」
「傍にいて、花」
…………!
力なんて、出せないくせに。
グッとわたしを抱き寄せてくる。
「花、お願い。僕のこと。欲しがって」
わたしに、拒絶されたくらいで。
ここまでのこと言うだろうか?
「泣いてるの、花」
「わたしは、嫌だよ。巧くんが。辛そうにしてるのは」
それで喜んだりなんて。
絶対に、絶対にできない。
「消えたりしないで」
そう言わなきゃ。
引き止めなきゃ、本当に巧くんがいなくなってしまう気がした。
「テーブルのうえ」
「え?」
「薬が、ある」
「ほんと?」
急いで向かう。
目に入った、袋に書かれていた文字。
“がん医療センター”
「……これ」
「手術」
他人のわたしが受け入れられないことを。
「しても。助かるかどうか」
このひとは、受け入れている。
命を軽くなんて考えていない。
「いくら詰め込んでも、満たされない、人生が。花と出逢って。意味を、持った」
ねえ。
すごい、汗、かいてるよ。
「病院、行こう」
「いやだ。ここにいる」
「ワガママ言わないで」
「傍にいて、花」
…………!
力なんて、出せないくせに。
グッとわたしを抱き寄せてくる。
「花、お願い。僕のこと。欲しがって」


