昼休み。

 メニューをどうするかアイデアを出し合っていたら――
「ケーキなら僕の方で調達できるよ。満足してもらえる品になる思う。三ツ星レストランのシェフに作らせてもいい」
 仁瀬くんがそんなことを言い出したので、女子は大興奮。

 男子も、
「仕事減ってマジ助かるわ」
「しかも予算から出る分は仁瀬が出すとか。太っ腹すぎ。金持ちはやることちげーな」
「男から見ても男前ってやべえ」
 とまあ、この通り。

 手伝いのレベルをこえている。
 影響力がすごすぎて、彼なしでは成り立たないという空気がまたたく間に出来上がってしまった。

 打算的な仁瀬くんのことだ。
 これも計画通り、なのかもしれない。

 恩を売って兵隊を増やすつもり?

 最初こそ沙羅に近付こうとしていたものの、今のところ距離感を縮める気配はない。

 警戒しすぎかな、わたし。
 でも。
 沙羅にまでヘンなことしたら、許さない。
 
 仁瀬くんの目的は。
 きっと、クラス一眼となって学園祭を終えることではないはず。

 絶対に、なにか隠してる。

 表向きは人気者でも損得勘定で動き、良心が甚だしく欠落している仁瀬くんのことだ。

 気を抜くわけにはいかない。

 っていうか、休み時間に教室に来ないで欲しい。ちっとも気が休まらないから。