三歳児のいっくんと、一歳児のこうちゃん。

「男兄弟だよ。そして今お姉ちゃんのお腹の中にいるのが三男」

 三兄弟……!

「三人目は女の子が欲しいなー、なんて言ってたけど。上の子のおさがり着せられるのは助かるとも言ってた」

 いっくんは、お絵かきをしている。
 こうちゃんはオモチャで手遊びしている。

「今は、一人あそびタイムだから手がかからないけどさ。めちゃくちゃハードだよ。子供の相手」
「大人しそうなのにね」
「ところがどっこい。ぜんっぜん! おとなしくない。トイレ行ってる余裕ないくらい。怪獣だよ」

 と、そこにこうちゃんがお手玉を持ってきた。
 キラキラしたまるい目を沙羅に向けている。

「なに? これやって欲しいの?」

 お手玉をサーカスのピエロみたいに投げる様子は手慣れたものだ。

 こうちゃんが、ニカッと笑顔になる。
 …………かわいい。

 沙羅の面倒見の良さ、素敵だなあ。

「玲二くんも年の離れた妹さんいるって言ってたね。誕生日会のとき、会えなかったけど」
「一緒に住んでないからね」
「そうなの?」
「レイジのとこも。色々あんのよ」
「そっか」
「そういや、花って。家のこと全然話さないね」

 わたしは、想像できない。
 この子たちがパパとママから愛されているような、家族団らんの光景が。

「あたたかいね。この家は」

「あい!」
 いっくんが、絵を見せてくれる。 
 カラフルなクレヨンでぐるぐると、曲線が無数に描かれていた。
 ……なにを描いたんだろう?

 わからないけど、いっくんが夢中になってお絵かきを楽しんで、それを完成させたとうことにほっこりさせられる。

「いつでも遊びにきなよ」
「!」
「っていうか、うち、バイトないとよく来てるんだよねー。シッターみたいなことさせられてる。花もよかったらまた手伝ってよ」
「うん」

 助け合う姉妹って、素敵だ。